- ワセリンは石油から得られる油分を精製したもの。肌の表面に膜をつくり、水分が逃げるのを防ぐ
- ワセリン自体は水分を与えないため、化粧水などで肌をうるおしてから薄く塗るのが基本
- 顔に使うときは「ごく少量を手のひらで温めて、押さえるように」がコツ
ワセリンとは
ワセリンは、石油から得られる炭化水素(炭素と水素からなる油の成分)の混合物を、精製してつくられる半固形の油です。化粧品の全成分表示では「ワセリン」と記載されます。
水になじまず、空気にふれても酸化しにくい安定した性質をもつため、保湿剤として単独で使われるほか、クリームや口紅、軟膏の基剤(土台となる材料)としても幅広く使われています。「石油由来」と聞くと肌に悪そうに感じるかもしれませんが、医療の現場でも肌の保護に使われてきた、なじみのある成分です。
ワセリンが肌を保湿する仕組み
ワセリンの保湿は、肌の表面に油の膜をつくって、角層の水分が蒸発するのを防ぐしくみです。このようにふたをして守る働きは、「エモリエント」や「閉塞(へいそく)性」の保湿と呼ばれます。
一方で、ワセリン自体には水分をふくむ働きはほとんどありません。ヒアルロン酸やグリセリンのように水分を抱え込む成分や、セラミドのように角層の中でうるおいを保つ成分とは役割が異なります。そのため、乾いた肌にワセリンだけを塗るより、化粧水などで水分を補ったあとに使うほうが、うるおいを保ちやすくなります。
| 保湿のタイプ | 主な成分の例 | 働き |
|---|---|---|
| 水分を抱え込む | ヒアルロン酸、グリセリン、BG | 水分をつかまえて、肌にうるおいを与える |
| 角層のうるおいを保つ | セラミド | 角層の細胞のすき間をうめて、水分を保つ |
| 表面にふたをする | ワセリン、スクワラン、植物油 | 油の膜で水分の蒸発を防ぐ |
ワセリンの種類
ワセリンは、精製の度合いによって色や不純物の量が異なります。
- 黄色ワセリン:精製度が比較的低く、やや黄色みがある
- 白色ワセリン:さらに精製して不純物を減らしたもの。一般的に「ワセリン」として売られているものの多くはこのタイプ
- より精製度を高めたワセリン:白色ワセリンをさらに精製したもので、肌への刺激がより少ないとされ、敏感な肌や目のまわりにも使いやすいといわれる
顔に使う場合は、白色ワセリン以上の精製度のものを選ぶと安心です。パッケージに「顔にも使える」「全身に」などの表示があるかも確認しましょう。
保湿ケアは、化粧水だけでなく乳液やクリームとの組み合わせも大切です。使用量や使う順番は、各商品の説明に従いましょう。
顔への使い方
塗るタイミング
スキンケアの最後、化粧水や乳液のあとに使います。乳液やクリームで十分な場合は、乾燥する部分にだけ重ねる使い方でもかまいません(乳液とクリームの使い分けは乳液とクリームの違いを参照)。
量と塗り方
- 米粒からパール粒くらいのごく少量を指先にとる
- 手のひらに広げて、体温で温めてやわらかくする
- 顔全体を手のひらで包むように、押さえてなじませる。こすらない
- 目元や口元など、乾燥が気になる部分には指先で少しだけ重ねる
量が多すぎるとべたつきやテカリの原因になります。「少ないかな」と感じるくらいから始め、肌の様子を見ながら調整しましょう。
こんな使い方も
- 唇の保護:リップクリーム代わりに薄く塗る
- 手やひじ、かかと:入浴後、肌が少し湿っているうちに塗ると広げやすい
- 暖房のきいた部屋での乾燥対策:乾燥しやすい部分にあらかじめ薄く塗っておく(暖房・エアコンによる乾燥対策)
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気になる点の考え方
「油焼けする」は本当?
かつての精製度の低いワセリンでは、ふくまれる不純物が日光に反応して肌が黒ずむ「油焼け」が起きることがあったといわれています。現在の精製されたワセリンでは、そうした心配は少ないとされています。とはいえ、日中に厚く塗ると肌がテカりやすく、ほこりもつきやすくなります。朝は薄く塗り、日焼け止めでの紫外線対策を忘れずに行いましょう(日焼け止めの選び方)。
ニキビや毛穴への影響は?
ワセリンは肌の表面にとどまる性質があり、それ自体が毛穴を詰まらせやすいわけではないとされます。ただ、皮脂が多い部分に厚く塗ると、べたつきや蒸れが気になることもあります。ニキビができやすい方は、Tゾーンなど皮脂の多い部分は避け、乾燥しやすい部分だけに使うとよいでしょう(大人ニキビの原因と対策)。
肌に合わないときは
刺激が少ないとされるワセリンでも、すべての人の肌に合うとは限りません。かゆみや赤みが出た場合は使用をやめ、症状が続くときは皮膚科で相談してください。湿疹やただれなど、肌トラブルが起きている部分には自己判断で使い続けないようにしましょう。
よくある質問
- ワセリンだけで保湿は足りますか?
- ワセリンは水分を与えるものではないため、乾燥が気になるときは化粧水などで水分を補ってから使うのがおすすめです。洗顔後すぐ、肌が少し湿っているうちに塗るのもひとつの方法です。
- メイク前に使ってもいいですか?
- ごく少量なら使えますが、多いとファンデーションがよれやすくなります。乾燥しやすい部分にだけ薄く使い、ティッシュで軽く押さえてからメイクをすると安心です。
- ワセリンは落とすのに特別なクレンジングが必要ですか?
- 薄く塗った程度であれば、ふだんの洗顔で落ちることが多いですが、厚く塗った場合は落ちにくいこともあります。メイクをしている日は、いつものクレンジングで落としましょう(クレンジングの種類と選び方)。
- 開封後はどれくらいもちますか?
- 酸化しにくい成分ですが、指で直接とるとほこりや雑菌が入りやすくなります。清潔な手やスパチュラで取り、製品に記載された使用期限や保管方法を守りましょう。においや色が変わった場合は使用を控えてください。
ワセリンは、肌の表面に膜をつくって水分の蒸発を防ぐ、シンプルな保湿剤です。水分を与える成分ではないので、化粧水などで肌をうるおしてから、ごく少量を押さえるようになじませるのがポイント。顔には精製度の高いものを選び、日中は薄く塗って紫外線対策もあわせて行いましょう。かかとやひじのかたさが気になる場合は、尿素の記事も参考にしてください。